はじめに
土地を売却したときには通常、譲渡所得に対して税金がかかります。
しかし、売却した土地が「これから良い住宅地をつくるために使われる」ものであれば、税金が安くなる特例があることをご存じでしょうか。
これは、国が良質な住宅地の供給を後押しするために設けている制度で、一般の土地売却よりも大きなメリットがあります。
また、令和8年度税制改正大綱において3年間の延長(令和10年12月31日までの譲渡が対象)となりました。
今回は優良宅地等の造成のための開発許可を行った場合(租税特別措置法(第31の2第2項第13号)の特例の内容と、実際に特例適用するために必要な書類を分かりやすく解説します。
この特例が適用できるのは、単なる土地売買ではなく、「家やマンションを建てるための宅地造成」が確実に行われる予定の土地を売った場合です。
⇒特例が適用できるケースは次のような条件を満たしている必要があります。
①その土地を売却の年の1月1日時点で 5年以上所有していた
②家やマンションが建つための 住宅用地として造成する目的で売却した
③買取業者が 開発許可(家を建てるために土地を整える許可) を取る計画がある
④その計画が、役所が認める「優良な住宅地づくり」にあてはまること
⑤売却した土地が1,000㎡以上であること
※売却した土地が1,000㎡未満でも、開発許可申請を行った開発区域の総面積が1,000㎡以上(一部地域は500㎡以上)の場合は適用可能となります。
つまり、
“ちゃんとした住宅地にするために土地を売った” と証明できる場合にだけ使える特例になります。
税金はどれくらい安くなるの?
この特例が適用されると、譲渡所得(売却益)にかかる税率が以下のように軽減されます。
◯譲渡所得 2,000万円以下の部分
・所得税:10%(通常15%)
・住民税:4%(通常5%)
・合計:14%(通常20%)
◯譲渡所得 2,000万円超の部分
・所得税:15%(通常と同じ)
・住民税:5%(通常と同じ)
・合計:20%(通常と同じ)
※別途、復興特別所得税がかかります。
【ポイント】 利益が2,000万円の場合、通常の税率に比べて約120万円税金が安くなります!
必要書類について
この特例のポイントは、「本当に住宅地造成のために売った土地であること」を証明できるかどうかです。
そのため、買取業者から次の書類を受け取る必要があります。
土地を買った業者(買取業者)から次の書類をもらうのが一般的です。
①優良住宅地等のための土地等の買取り証明書(買取業者が作成)
→国税庁指定の様式がございます。
② 開発許可の申請書の写し
③ 開発許可の申請に添付した資料
(事業の説明書、設計の説明書、地形図)
④ 開発許可が下りたことを示す通知書(許可通知書)
また、特例を適用する場合は、確定申告が必要となります。不動産売却の申告で特例を適用する旨の記載を行い、上記①~④の書類を添付して税務署に提出が必要となります。
なお、①「優良住宅地等のための土地等の買取り証明書」につきましては、土地を売却した方が国税庁の様式の証明書を用いて買取業者に特例に適用している土地の買取であることを証明してもらい、確定申告書にその証明書を添付することとなります。
流れとしまして、
・土地を売却した方が特例に該当することを認識して証明書の作成を買取業者に依頼
・特例に該当することを買取業者が証明書に記載して土地を売却した方に証明書を交付
・土地を売却した方は証明書を添付して確定申告
というのが一般的です。
特例を活用するうえでの注意点
この特例は非常にメリットが大きい反面、書類がそろっていなければ適用されない可能性もあります。
また、特例を使って申告したあとに造成計画が中止になった場合は、税金の修正が必要になるケースもあります。
・書類は早めに買取業者へ確認する
・分からない部分があれば税理士などの専門家へ相談する
・開発許可の状況はできる範囲で把握しておく
といった点が安心につながります。
おわりに
優良宅地等の造成のための譲渡にかかる軽減税率の特例は、特例の存在を知らない方が多く、特例の適用のためには買主側の協力が必要となります。
土地を「住宅地造成のために売った」という事実を証明できれば、税金が大きく軽減される非常に有利な制度です。
ただし、必要な書類がそろっていないと特例が使えないこともあるため、売却時には早めに買取業者へ確認し、十分に準備しておくことが大切です。
「うちのケースも当てはまるのかな?」と感じた方は、税理士や専門家に相談しながら進めると安心です。





